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愛!勇気!元気!広げよう幸せの輪!

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「スパイ・ゾルゲ」製作記者発表会

「梟の城」から2年――篠田正浩監督最新作
「スパイ・ゾルゲ」製作記者発表会

リヒアルト・ゾルゲ(1895-1944)ソ連の国際スパイ。
ドイツと日本の政治・軍事の最高機密を約8年に渡ってソビエト政府に漏洩した。

この20世紀最大のスパイ事件を、篠田正浩監督が描く!

篠田正浩監督「スパイ・ゾルゲ」の記者発表会が、奇しくも57年前の1944年、ゾルゲと彼をサポートしていた朝日新聞社の尾崎秀実(ほつみ)が処刑された11月7日、東宝本社(東京・有楽町)にて行われました。
出席した篠田正浩監督、原正人エグゼクティブ・スーパーバイザー、鯉渕優プロデューサーのコメント、そしてドイツの製作会社ドルニオク・プロダクション(「舞姫」を共同製作)から、共同プロデューサーを務めるマンフレッド・ドルニオク氏のビデオメッセージをご紹介します。

出席者コメント
篠田正浩監督:
この企画を考え初めてから、14~5年経ちます。映画の企画というのは、10考えて、1つ実現できればいいようなものですが、この作品だけはなんとしても映画にしたいと思っていました。私は、自分の生まれた時代をどのように表現すればいいかということをずっと考えていました。「瀬戸内少年野球団」(84)や「瀬戸内ムーンライトセレナーデ」(97)などの作品で1945年8月15日以降の少年期の物語を撮り続けてきましたが、自分自身の8月15日とは何かについて考えていました。

ゾルゲは、スパイと言うよりは、日本が好きで研究をしていた部分が大きい。私は、彼の書いた2・26事件の東京における軍隊の反乱について書いたレポートを読んで、その頃の私とは違う彼のクールな目に驚きました。スパイ故に、客観的な見方ができたのでしょう。

私は、ゾルゲを扱わずして、映画作家として役割を果たしたと言えるのか、と思うようになりました。ゾルゲの目を通せば、ひょっとしたら正確な日本を描けるのではないでしょうか。ゾルゲ、そして尾崎という2人のジャーナリストを描くことで、その時代を体験していない現代の人に新しい感情を持ってほしい。私は今年70歳になります。今まで作ってきたものに対して「すべての人間、国に対して公平な視線で作ろう」と考えてきました。私はゾルゲと尾崎にもその心があると思いました。昭和という時代を、私なりの公平さに従ってこの時代を映画化したい、私なりに映画作家として決着をつける作品にしたい、そう思っています。

先日、脚本は第12稿を完成させました。ゾルゲをめぐる研究は、世界で深く進められています。その中で日本におけるゾルゲ研究は世界のトップにあると思います。その意味でこの映画は、世界の情報社会に多大な影響を与えることになるのではないでしょうか。私は、「ゾルゲと尾崎というコミュニストを扱った主題は、アメリカ社会では受け入れられにくいのではないか」と考えていました。しかし、私のアメリカのエージェントたちは「あの時代に、こんな人間がいたなんて素晴らしいことだ」と言ってくれました。

この映画ではCGを使って、昭和初期の街並みを再現させます。SFXは未来の世界を描くだけではなく、歴史を再現することができる手段でもあります。CGによってあらゆる世界を手に入れることができるようになりました。「スパイ・ゾルゲ」のCG製作を行うワークステーションとして、私の母校である早稲田大学(国際情報通信研究科)が協力してくれることになっています。そしてそのプロセスを開放することで、私たちのスタッフと一緒に、学生たちにも学んでほしいと思っています。

私はこの映画で、映画監督としての仕事を終えようと思っています。しかし、映画監督としてのデボーション(献身的な愛情)は、ずっと持ちつづけていきたいと思っています。

原正人エグゼクティブ・スーパーバイザー
私は篠田監督の情熱に負けて、この作品に参加することになりました。このテーマの持つパッションとエネルギー、そしてロマンをいかに映画化するかが、プロデューサーとしての腕の見せ所です。決して楽な企画ではありませんが、何としても実現させ、成功させたいと思っています。

鯉渕優プロデューサー
2001年4月から、「スパイ・ゾルゲ」の製作を進めています。来年の1月から7月くらいまで撮影をする予定です。撮影はまず北海道から始めて、国内ロケ終了後、上海、ベルリン、モスクワのロケを経て、ポストプロダクションに入ります。そして来年末の完成を目指します。公開は2003年を予定しています。
質疑応答
Qゾルゲのどこに魅力を感じたのか?

篠田監督:
ゾルゲはスパイにもかかわらず、すごい女たらしで、20人以上の女性と関係を持ったと言われています。そして酒を飲んでオートバイに乗る。普通ならスパイは、ひっそりとしているものなのに、彼はドイツのジャーナリストという肩書きで堂々とし、社交界でも一際目立っていた。何故そんな彼がスパイになったのかというところに興味を持ちました。彼は、スパイというより、研究者だったと私は思っています。スパイだったから、というよりは、彼の人となりに興味を持ちました。

Qキャストは?

篠田監督:
候補はいろいろあがっていますが、まだ決定していません。来週はニューヨークでオーディションを行い、次にイタリアである俳優に会います。その後、ロンドン、ベルリンをまわって、キャストを決定する予定です。

Qどのくらいの製作費を予定しているのか?

原氏:
製作費は13億円くらいになる予定ですが、この企画に賛同してくれた、お金には換算できないサポートも合わせれば、総製作費は20億円に上るとも言えます。

マンフレッド・ドルニオク氏(共同プロデューサー)
ゾルゲ事件は、日本やドイツだけではなく、世界中の人々の興味を引くテーマだと思います。「舞姫」(89)を撮っていた時から、いつかゾルゲを映画にできないかと考えていました。彼は20世紀最大のスパイです。第二次世界大戦こそが、20世紀に最も影響を及ぼした事件であり、そしてこの映画を見れば、ゾルゲが第二次世界大戦にもたらした影響が分かるでしょう。大きな示唆をもつ、エキサイティングな作品になると思います。
篠田監督は最もすばらしい監督の1人です。私は、この作品の世界各国での公開実現に向けて、話を進めて行く準備をしています。
「スパイ・ゾルゲ」は、2003年、全国東宝系にてロードショー




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